「それはドーパミンです」: 私たちが視聴や読書の習慣を追跡するのが好きな理由

Letterboxd や GoodReads などのサイトは、文化的消費を文書化することを奨励しています。しかし、ゲーミフィケーションは芸術を実際に楽しむことの邪魔になるでしょうか?

JustWatch アプリを開いて、ルカ・グァダニーノの魅惑的なサイコドラマ「A Bigger Splash」を「視聴済み」としてマークすると、エンドクレジットはまだ流れ続けており、満足のいく緑色のチェックマークが付いています。 Letterboxd アカウントをクリックして同じことを行い、鑑賞した日付を記録します。その後スクロールして戻ると、達成感が崩壊して、4 月全体でわずか 2 本の映画しか観られなかったという罪悪感に変わりました。

私は、自分の文化摂取量を宗教的に追跡することが、歩数、トレーニング、カロリー数、生理周期を記録するのと同じくらい本能的になっている何百万人もの人々のうちの一人です。 Letterboxd – 「映画愛好家のためのソーシャルネットワーク」と呼ばれ、映画を記録し、レビューし、他のメンバーと議論できる – は最近、会員数が 600 万人に達しました。 Amazon が所有する GoodReads は、過去 15 年間書籍に関して同様の取り組みを行っており、1 億 4,000 万人のコミュニティを擁し、これまでに 510 万人がユーザーが目標冊数を設定する 2022 年の読書チャレンジに参加することを約束しています。 12か月にわたって読むことができます。一方、IMDb には 10 億件を超えるユーザーレビューが記録されています。以前のウェルネスと同様に、文化的消費もまた、私たちにとって、冷酷で確かなデータを使用して生活を測定、分析、最適化する機会となっています。

私は最初、私たちが利用できるコンテンツの氾濫に秩序を与える試みとして自分の文化摂取量を記録し始めましたが、すぐに箱をチェックする喧騒に屈してしまいました。『Psychology of Popular Media』ジャーナルの編集者であるカレン・シャックルフォード博士は、これをビデオゲームをプレイしているときに得られるポジティブなフィードバック信号と比較し、「わずかな報酬で人々のモチベーションが高まるというのは、ある意味驚くべきことです」と彼女は言います。「これは私たちの脳内のドーパミンであり、ゲームを続けるための追跡化学物質のようなものです。」

私たちは自分が楽しんでいるもののためにスペースを作ろうとするというポジティブな点があるにもかかわらず、このようにゲーム化するのは偉大な芸術の精神とはまったく思えません。そして、これらの満足のいく「視聴済み」リストの裏側には、不気味な（そして罪悪感を引き起こす）「視聴する」反対の数字があります。未来のエンターテイメントの魅力的なスモーガスボードであるはずが、登るのが不可能な山のように見え始めます。

この傾向は、毎年 12 月にソーシャルメディアに溢れる、その年に人々が最も聴いた曲の Spotify ラップリストが示すように、一般公開を奨励するトラッカーアプリによってのみ増幅されます。自己追跡現象の専門家であり、『定量化された自己』の著者であるデボラ・ラプトン教授は、「私たちは、自分の習慣をオンラインで共有するのは良いこと、フィードバックを得るのは良いことだという考えに慣れています」と説明します。しかし、それが「すべてが競争」になると、悪影響が生じる可能性があります。おそらくそれは楽しみを減らす方法だと思います。

これらのプラットフォームのいずれかのアカウントが公開されている場合、正直さを犠牲にして実績を整理するというパフォーマンス上の圧力さえかかる可能性があります。たとえば、『The Power of the Dog』は記録するが、『Space Jam: A New Legacy』は省略するなどです。

ラプトン氏は、追跡が健康分野から文化的摂取にまで拡大することは避けられなかったと信じています。これは、テクノロジーにモニタリングが組み込まれたストリーミングプラットフォームへの芸術の移行と、私たちのシェアリングエコノミーが結びついた結果です。「多くの場合、彼らが私たちについて何を知っているのかわかりません」と彼女は言います。「しかし、Spotify や GoodReads のようなものでは、人々は独自のデータを生成できます。」そして、テクノロジーを使って自分自身を追跡するという考えに完全に同意している人にとって、より多くのデータを収集できるほど、自分自身をより深く知ることができます。ラプトン氏は次のように説明しています。「私たちは、指標の方が自分自身について知る他の方法よりも正確で洞察力が高いという考え方を持っています。」

これは、これらのアプリの人気の機能が分析であるという事実と一致します。つまり、お気に入りのアーティスト、俳優、ジャンルが誰であるかを正確に示す、きちんとした視覚化です。評価を付けるよう促されると、それはさらに大きくなります。「私は数字の価値を理解しています」とシャックルフォード博士は言います。「しかし、時々、還元主義的すぎると感じることがあります。あなたが数字を付けたすべてのものは、うまくいけばより深い現実と相関していますが、これらを実際に定量化することはできません。『高慢と偏見』は5ですが、ノーザンガー・アビーは4ですか？わかりません」」

代わりに、彼女はこれらの数字を額面通りに受け取ることには注意を促し、「コリン・ファースが出演した映画を5本も観たことに気づいていないかもしれないが、観たことがあるからといって、彼があなたのお気に入りの俳優であるという意味ではない。それでも、それは重要なことだ」と語った。人間のことです。データは誤った印象を与えるかもしれません。」

とはいえ、20年近くの視聴習慣の記録を持っている人と話すと、うらやましさを感じずにはいられません。ジェームズ・モーガンは、第 6 フォームだった 2004 年 4 月 11 日に映画への最初の投票を IMDb に登録しました。現在 34 歳の彼は、2,267 本の映画をサイトに記録しています。（彼のリストは非公開であり、影響力を得るために行われたものではなく、彼が見てきたものをカタログ化する手段です）。私たちが文化の摂取量を追跡することで、私たちがより受動的な消費者になってしまうのではないかと私が懸念していたのに対し、モーガン氏は、自分の視聴にアクセスすることで焦点が当てられたと主張する。

「目的のない映画ではなく、たくさんの映画を見たいという衝動を抑えようとしているのです」と彼は言う。「この数字を少しずつ上げようとする倒錯的なインセンティブがあるのだと思います。おそらくそれは、すでに見たものや大好きなものを見ることに悪影響を及ぼしているのでしょう。同時に、私は夜を座って過ごすつもりはありません（考えている）、「映画を観てIMDbの数字を上げたほうがいいよ！」

ただし、彼は、奇妙なフィルムを記録するのを忘れたことにイライラしていることを認めています。「実際、時々（最初に登録しなかったものに）遭遇してしまうのが苦痛です。」すべてが気難しいように聞こえるかもしれないが、モーガンにとって記録を残すことの主な魅力の 1 つは熟考の機会である。「BBC で（古典的なゾンビ映画の）『ドーン・オブ・ザ・デッド』を見て衝撃を受けたのをはっきりと覚えています。今ならわかります」私がこれに投票したのは 2004 年 11 月のことでした。時々見ることができるのはとても良いことです。」

これまでに見たすべての映画を本質的にスプレッドシートに貼り付けるという臨床的な性質にもかかわらず、映画、本、テレビを愛する人生をスクロールできるようになると、突然非常にロマンチックに思えます。シャックルフォード博士もこれに同意します。「私が今までに見たすべての映画とその時期のリストを魔法のように手に入れることができたら、そうしたいです! 心理学の理論では、人はその発達段階に基づいて特定のものを見る、あるいは次のような理由で見るという理論があります。あなたの人生には、直接対処したい、あるいは避けたい何かが起こっています。」

したがって、ひどい別れは、2週間にわたるおせっかいなラブコメディや、1か月にわたる復讐スリラーのむちゃ食いのせいで仕事をクビになることによって証明される可能性があります。私たちが消費することを選択した文化は、単なる余興ではありません。それは私たちの人生の印象であり、余暇の過ごし方に私たちの感情や精神状態が反映されます。その意味では、追跡アプリがどれだけ私たちをその考え方に近づけようとしても、「勝利」はありません。エクササイズアプリで目標を達成することは別のことですが、文化は「完了」できるものではありません。アプリが「おめでとう！すべての映画を観ました！」と告げるのに、画面上で花火が舞っても何の見返りもありません。

代わりに、私は自分の追跡習慣を原動力ではなく仲間として考え始める必要があります。それは、選択による圧制を緩和するための緩やかなガイドであり、便利な記憶力向上剤であり、浸ったり離れたりできる日記です。なぜなら、私たちが自分自身に関するデータをどれほど細心の注意を払って収集したとしても、ボックスにチェックを入れることは、文化に対する私たちの反応の主観的、直観的、予測不可能で無形の方法を表すことは決してないからです。そしてそこに本当の価値があるのです。